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2012年 1月 20日(金曜日) |
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第四話『対決』
「動きがないな……いっそ、余が打って出るか?」
女王クローデットの言葉を受け、サンダークラップが紫電を帯びる。
「おぬしも戦いたいか?」
女王となってから久しく自分で戦ってはいない。兵たちに無駄な犠牲を強いるぐらいなら、自ら先頭に立つべきだという思いが、クローデットの中で強く燻っている。
「否、それには及びませぬのじゃ、女王陛下」
クローデットの思いを断ち切るかのように、鋼鉄参謀ユーミルが城壁に姿を現す。
「動きがないなら、動かすまでのこと!」
鋼鉄参謀が上空にむかって大きく手を上げる。
「ライラよ! おぬしの出番じゃ、ナナエル殿のためにも存分に働いてみせるのじゃぞ」
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「意外と見え透いた手に引っかかってくれちゃったね。ちょっと拍子抜けかも」
神機要塞ブライの監視塔から、女王軍の布陣を眺めながら軍師ユイットは不満そうにつぶやいた。
「心配症だな、ユイットは」
大将アンネロッテが微笑みを浮かべ、一歩前へと踏み出し、女王軍の布陣を睥睨する。
「女王クローデットとはいえ、軍の規模がある程度以上大きくなれば細やかな采配はできない。ユイットの策が上手くいっているという証拠さ」
「そ、そうだね。お兄ちゃんがそう言うのなら安心だよ」
「それじゃあ、あたしもがんばってこようかな」
フラフラと舞うような動きでルナルナが、ブライの先端へと歩いていく。
「ちょ、ちょっとぉ! どこに行く気なのよ」
「んふふ、こんなにも沢山の男性を前にして、踊らずに入られる踊り手なんていないわよ。見てらっしゃい、女王軍の兵士たちを残らず私の虜にしてみせるから」
「作戦のことはわかってるんでしょうね! お兄ちゃんも黙って見てないで、なんか言ってよ」
「いいじゃないか、私たちは軍隊じゃないんだ。やるべき時にやるべきことができればそれでいい」
「さすがは私の姉さま。では、女王軍の男共全員を腰砕けにしてくるわね」
ユイットの問いにウィンクで答え、ルナルナは華麗な身のこなしで、ひらりと監視塔から舞い降りていく。
「んで、シギィは何もしないのかネ?」
「わ、私に何をしろとおっしゃるの?」
「ほら、ルナルナの踊りに、シギィのスカート広げてパンツみせる技が加われば……」
(タ、ターニャン、そんな言い方しなくても……)
怒りに肩を震わせるシギィから身を隠すようにサイニャンがターニャンの背に回る。
「ふふふ……異郷の民は『聖なる技』と『蛮族の踊り』の区別もつかないようですわね」
シギィが鎖をジャラリと鳴らした瞬間、ブライ全体が大きく振動し、床が激しく傾く。
「きゃあああああっ! 落ちるッ! 落ちちゃうッ!」
「総員、何かに掴まれッ!」
床に剣を突き立ててアンネロッテが叫ぶ、すぐ隣をミリムが悲鳴を上げて滑り落ちていく。
「まったく、仕方のない娘ですわねッ」
シギィが鎖を伸ばし、塔から落ちかけたミリムを絡める。
「なんなのヨ、一体? サイニャン、わかる?」
柱にしがみつきながらサイニャンが上空を指さす。
「……ターニャン、あそこ……」
そこには、太陽の光を浴びて輝く純白の翼を持った天使の姿があった。
「今の威嚇です。私の名前は神罰の執行者ライラ、神罰……代行させていただきます、よ?」
まるで台本でも読んでいるかのような棒読みの口調でライラは攻撃を宣言すると、手にした長い筒状の武器からブライへと向け、純白の液体を次々と撃ち込んできた。
「ガオオオオオオンッ」
ヴァンテが雄叫びを上げ、ライラの攻撃を避けようとする。だが、ブライはあまりも大きすぎ機敏な動きは出来ない。
「な、なにネ、これはッ!」
「うわあ、ベトベトだよお」
「滑る、ぬるぬるして……いやあん」
二発、三発と撃ち込まれてくる純白の液体が、たちまちのうちに監視塔を満たし、集まっていた美闘士たちの衣服を白く濡らしていく。
「ああっ! こ、これはヤバイよッ!」
聖乳まみれになりながら、ヴァンテを操っていたユイットが悲鳴を上げる。ライラの放つ聖乳を浴びた部位が次々と硬直し、ブライの動きを鈍らせていく。
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「こ、このままだと、ブライが動かなくなっちゃう。あの天使をなんとかしないと!」
「そういうことならば、シャイファンの退魔師にお任せするのネ! サイニャン、あれをやるヨ」
「あれ……本気でやるの?」
「そうヨ。ここでやらねば、いつやるのヨ」
言うが早いか、ターニャンが気合をサイニャンの身体に注ぎ込む。
「ひゃうっ……あ、熱いよぉ……ターニャンの、とっても熱いのが……ボクの中に……」
「んふふ、もっと、もっと耐えるのヨ。たぁっぷりと注ぎ込んであげるからネ」
二人の力が一つになって編み出される方術、双龍陣の奥義、神龍咆哮を放つべく、ターニャンが苦悶の表情を浮かべながら耐える。
「ターニャン……ボク……」
「もうちょっと、もうちょっとだけ、耐えるヨロシ!」
「ルナルナ! 天使をひきつけてくれっ!」
神龍咆哮を確実なものにするため、アンネロッテは天使に近いルナルナに命令を下した。
「ねえねえに言われなくても、やっちゃうつもりだよッ!」
豊満な肢体から聖乳を滴らせながら、太陽の踊り手と化したルナルナが飛び上がる。
「うふふ、お肌が綺麗になっちゃうね」
聖乳を浴びてヌルヌルと蠢く触手に対し、恐怖を感じたライラが悲鳴を上げながら聖乳を激しく乱射する。
「ひやあああああっ!」
白い飛沫を飛び散らせながら固く屹立した触手の先端がライラをたたき落とす。
「私の舞い……お気に召していただけましたかしら?」
自分の身体についた聖乳を指先で拭いながら、ルナルナがポーズを決める。
「やるねえ、ルナルナ! よおし、一気に行くヨ!」
「ああ……ターニャン、ボク、もう限界……」
ターニャンの気合を溜め込んだサイニャンが身体を紅く染めながら、降下していくライラに視線を向ける。
「放て! サイニャン! 我らが究極奥義!」
『双龍陣奥義、神龍咆哮』
ターニャンの命を受け、サイニャンは自身の身体に満ち溢れた気を一気に放出した。
「こんなこと・・・・・・聞いてない」
神龍咆哮の直撃を受け、ライラは気絶したようにブライの足元へと落ちていく。
「やったネ! サイニャン!」
「……うん、役に立てた……かな?」
「もちろん。すごいぞ、二人とも、よくやってくれた」
「皆様、油断大敵ですわ。女王軍の攻撃がこれで終わると思えません。まだ何か仕掛けてくるはずです」
聖乳まみれになりながら、ミリムを引き上げたシギィの言葉に皆が気を引き締める。
「ガオ?」
「え? 思ったように動かない?」
「ちょ、ちょっと、あれを見てください!」
ミリムの声に、皆の視線が彼女の指さす先へと向かう。
「あ、あんなのありぃ?」
ブライの足元で沸き上がる土煙の中から、ゆっくりと巨大な影が立ち上がってくる。それはブライと肩を並べられるほどの巨体へと変身したライラの姿であった。
「ぬはははは、ライラよ。神の奇跡を見せてやるのじゃ!」
ライラの頭部から鋼鉄参謀の声が響く。
「か、神の奇跡ですって……こ、こんなものが」
巨人と化したライラの金色の瞳に写る自らの姿にシギィは息をのんだ。
「みんな、気をしっかりもて! 幸いにもブライは、女王軍の陣を突破している。ガイノスまで女王軍と戦わずにたどり着けるはずだ。行くぞ!」
剣を手にアンネロッテは叫んだ。
「ライラは私とブライで引き受けるわ。がんばってね、お兄ちゃん!」
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開け放たれたブライの城門から叛乱軍と共に、アンネロッテたちは駆け出した。
「結局は強行突破になったネ」
「さすがの異教徒姉妹も、怖じ気付いたのかしら?」
「安い挑発ネ、異端審問官」
「あら? 私、挑発しているつもりはありませんわ」
「ふふん、シャファンの対魔師を甘くみないでほしいネ! 行くよ、サイニャン!」
「う、うん……ターニャン……」
シギィの言葉に乗せられたターニャンがサイニャンを引っ張りながら先頭を突っ走る。
「うふふふ、わかりやすい娘ね……さあ、姉上様も」
アンネロッテが一歩を踏み出そうとした瞬間、眩いばかりの魔方陣の煌きと共に、先をゆく叛乱軍の兵士たちが唐突に吹き飛ばされた。
光り輝く魔方陣の中から姿を表したのは、純白のエプロンに身を包んだ一人の美闘士だ。
「先に行ってくれないか……必ず追いつく」
アンネロッテは突如、出現した美闘士から目をそらすことなく、シギィに告げた。
「彼女の相手は私で無ければできないと思う」
「叛乱軍の首魁アンネロッテ! 旦那様と私の平穏な生活のため、倒させていただきます!」
魔族と化したアンネロッテを思わせる赤い瞳を輝かせ、叛乱軍のただ中に出現した美女は高らかに宣言した。
叛乱の騎士姫アンネロッテ、召喚士アルドラ、宿命の対決の軍配はどちらにあがるのか?
それは戦ってみなければわからない。
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お互いの素性を知ることなく激突したアンネロッテとアルドラは死力を尽くし戦い合う。
そして戦場の中、真の天使の力に目覚めたライラが見せる真の姿とは?
次回「大決戦」活目して待て!
ストーリーテキスト:沖田栄次、イラスト:えぃわ
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